旅人に寄り添うことを大切にする
私達だからこそできる本屋のカタチ。
そろえたのは、京都を旅するあなたに出会ってほしい本。
ゆっくりと、本屋を歩き、棚を眺め、手に取る。
そうして、あなたが惹き寄せる本との出会い。
ここで出会った本はきっと
あなたの旅の、新たなみちしるべになる。
ルール : 未購入品は客室まで持込不可
楽しむコツ 忘れてはいけないもの:知りたいという気持ち。
置いてきていいもの:時計。
雅の都、京都。それはこのまちの表の顔にすぎない…。京都には毎年5千万人以上の人々が 訪れ、山紫水明の地の美しさや歴史ある神社仏閣の趣に、いまはなき平安京の姿を重ね思いを馳せている。しかし、京都は本当にそのような「雅の都」なのだろうか?京都千二百年の歴史は、権力をめぐる骨肉の争い、繰り返された謀反と策略、そして非業の死を遂げた者た ちの後世まで続く恐怖の呪念の歴史である。オカルトや心霊の観点ではなく、史実と伝承をもとに裏歴史を知ると本当は怖い京都をどうぞ。
「頭がいい」でも「できる」でもなく「おもろい」が桑原先生の最上級の誉め言葉だった。(鷲田清一『京都の平熱』から)
「おもろい」やつが一番という京大の校風は、戦前の西田幾多郎、田邊元、波多野精一らの京都学派、戦後の桑原武夫、梅棹忠夫、今西錦司らの新京都学派、そして鶴見俊輔らの思想の科学研究会、と脈々と受け継がれ、多くの素晴らしい実績の源流となったのではないか。京都を拠点に哲学から漫画までこの世界のあらゆる「おもろい」ことを紹介し、大衆を啓蒙し続けた人、鶴見俊輔。そんな鶴見さんの評伝を『思想の科学』編集者で喫茶店「ほんやら洞」にも関わっていた北沢恒彦さんの長男で作家の黒川創さんが手掛けた一冊。
ゼロ年代以降、京都カルチャーの一翼を担い続けている書店、「恵文社一乗寺店」。その名物 店長だった堀部さん(現在、「誠光社」店長)が「恵文社一乗寺店」を形成する源になったであろう90年代の音楽、本、テレビなどの文化的体験を京都の町とともに丹念に思い出し考察した批評エッセイ集。京都駅が新しくなり、河原町にはまだ旧丸善や駸々堂などの書店があり、インターネットがまだ広く行き渡っていなかった90年代の京都の空気を味わえる一冊です。
寺にはなぜ扉のついていない門があるのか?日本はなぜ引き戸なのか?「門」や「塀」、「畳」、「襖」など、神社仏閣はもちろん町家や現代の住宅にも使われている日本人にとっては当たり前の身近な意匠を京都の建築遺産を題材に独自の切り口で読み解いた随筆集。著者のカー氏は京都の亀岡を拠点に70年代後半から40年以上に渡って日本の伝統文化や芸能を 研究し、司馬遼太郎や白洲正子にも認められた目利き。知ってるつもりの清水寺や銀閣寺な ど、京都の定番観光地が全く違う姿で見えてくる一冊です。
京都生まれ京都育ち、日本を代表する哲学者で阪大総長も務めた鷲田さんが京都の碁盤の 目を左回りに走る市バス206番で巡る京都案内。京都の歴史、地理、建築、食文化、言葉、大学からファッション、サブカルチャーまで、京都のガイドブックや流行りの京都本の類を 読んでも決してたどり着けない「地元としての京都」が芸人のようなオモロイ精神と鋭い哲 学者の目線で目一杯詰め込まれた担当一押しのベストオブ京都本。この本を手に206番のバスに乗れば、全く新しい京都散策ができること間違いなしです。
京都発祥の中華料理店と言えば「餃子の王将」や「天下一品」などが有名ですが、にんにくやラードを使わないあっさり薄味の京都中華の系譜があることはご存知でしょうか?その中心的存在だった「鳳舞」。その系統のお店をメインに京都の中華料理店20軒あまりを看板メニューとともに紹介。それだけにとどまらず、民俗学的に京都の中華の歴史をひもとき明治以降の京都の食と外国文化の関係についても知ることができる一冊です。
1972年、京都今出川の学生街に岡林信康(フォーク歌手)、中尾ハジメ(京都精華大学元学長)らが開店した喫茶店「ほんやら洞」。そこは、詩人、在野の学者、反戦運動家らの活動の場として、内外の文化人から愛された伝説のカウンターカルチャーの拠点だった。2015年に焼失した今は亡き「ほんやら洞」を中川五郎や宮沢章夫、清水哲夫、井上章一など六十八人が追憶する。シンガーソングライターから演出家、作家、学者まで、アートやサブカルチャーとアカデミズムが交差する京都における「グリニッジ・ヴィレッジ」的存在だった場を通して知る70年代の京都。
「(湯川さんたちは)実験室の片隅で自然の中に隠された“詩”を見つけた人々だった」
(高野文子『ドミトリーともきんす』から)
湯川秀樹は、日本人で初めてノーベル賞を受賞した物理学者として、物理に関する専門書から一般書まで多くの科学に関する本を残していますが、一方で、漢籍に親しみ、詩歌を嗜み、京都の山紫水明を数々の名随筆として残していることはあまり知られていないかもしれません。科学の頭脳と文学の心をあわせもった湯川さんの目を通して書かれた京都についての随筆も収録した入門の一冊です。